内縁の妻では遺族年金の請求が難しい?
「内縁の妻では遺族年金の請求が難しい」と年金事務所の方から言われたり、ネットを検索しても「もらえない」という情報を多く目にするのではないでしょうか。でも諦めないでください。
- 事実上婚姻関係にあったこと
- 生計を維持されていた
この要件を満たせば、受給出来る確率が上がります。
事実上婚姻関係とは?
- 二人の間で、共同生活を送ろうという意思があり、その関係を築いていこうという合意があること。
- 二人の間で、共同生活を送っていたという客観的な事実があること。
生計を維持されていたとは
- 前年の収入が850万円未満であること。
収入が850万円を超えてしまうと、亡き夫から生計を養われていたとはみなさない扱いになるようです。
客観的事実を証明するには
生計を維持されていたことを証明する客観的事実が必要になります。例えば、
- 喪主を務めたことがわかる書類(写真でも良いです)
- 年賀状のはがきが連名になっていた
- 公共料金の領収書の住所が同じだった
- 生命保険の受取人になっていたことがわかる書類
というものがあります。
「これが証明になるのかしら?」と思うものでも意外なところに生計維持を証明するものがあったりします。私が相談を受ける場合「確かに奥様が生計を維持されていたのだ」とわかるものであれば、なんでも一切合切ご持参下さい、とお願いしています。徹底的にヒアリングをして、客観的事実を探し出す努力を惜しみません。
またその書類は、相続手続きの関係で親族の方が持ち帰ってしまう場合がありますが、必ずご自分で大切に保管して下さい。お二人が確かに夫婦として過ごしてきた証拠になるものは、早急に、コピーを取るなりして大切に保管なさって下さい。そして私に相談する時には、それらの書類を見せて頂けますでしょうか。
「遺族年金もらえないかも…」と諦める前に、まずは私に相談して頂ければと思います。可能性が少しでもあれば全力で対応させていただきます。
内縁関係で、しかも住所が別の場合は遺族年金請求するのは難しい?
「内縁関係で、しかも住所が別の場合は遺族年金請求するのは難しい」と言われたことはないでしょうか。でも諦めないで下さい。
例えば、
- 内縁の夫の家で暮らしていたが、自分の住民票は移さないままだった
- 自分の親が病気で看病を見なければならず、遠方なため実家の住所に住民票を移してしまった。
- 内縁の夫が会社の代表取締役で、住民票を移せなかった
内縁関係で、住所が別だった例としてこれらのものが挙げられると思います。
内縁関係で、遺族年金を請求するためには、
- 同居をしていたのかどうか
- 別居であっても生計を同じくしていたのかどうか
これらを証明していかなければなりません。
では、別居で生計を同じくしているとはどういうものか見ていきましょう。いくつかあります。
3つのパターンに該当すると生計を同じくしていると認められる可能性が高いです。
- 世帯全員の住民票に同じく記載されており、住民票の住所も同じ
→このパターンはあまりこじれずに請求出来る場合が多いです。 - それそれが別々の世帯主であるが、住民票の住所が同じ
→このパターンも比較的請求できることが多いです。 - 住民票の住所がそれそれ別々であるが、現に一緒に暮らしている
→生計を同じくしていることを証明する書類が必要になります。下記参照※
一緒に暮らしているが住民票の住所がそれそれ別々の場合
- 二人が住んでいたところに届いた郵便物
- 二人が住んでいたところで支払った公共料金の領収書
同居しておらず、住民票の住所もばらばらな場合
- 内縁の夫から経済的援助をうけていたのがわかる通帳や現金書留の写しや振込明細書
- お互いに音信を取り合った「はがき」や「SNS等でのやりとり」
ただし、同居しておらず、住民票もバラバラな場合は、「それは同棲関係だったのでは?」とみなされる場合があるようです。よほどのやむを得ない事情であったり、経済的援助をしていたのだという証拠が重要になってくるようです。
私にどのような事情でそうなってしまったのか、詳細をお話しして頂ければと思います。
どんな小さなことでも大丈夫です。一緒に生計を同じくした証明をしていきましょう。
戸籍上の妻がいて、同時に内縁の妻がいる場合
事実婚・内縁関係であっても一定の法的保護を受けることができます。
しかし、重婚的内縁関係にある場合には、元の婚姻関係(法律婚)の方が法的効力が強いため、タイミングとして後の事実婚・内縁関係の方が弱くなります。
婚姻関係が二重になってしまっている状況は、法律上も好ましい状況といえません。
元の法律婚の配偶者との間に子がある場合、子への影響を考えて戸籍上は離婚しないままとする人も少なくありません。
離婚が成立していない状況で、他の異性と事実婚関係になれば重婚的内縁関係が成立します。
重婚的内縁関係の場合、基本的に法律上保護されない
民法732条は、「配偶者のある者は、重ねて婚姻することができない」として、婚姻関係の重複(重婚)は認められていません。そのため重婚的内縁関係では、法律上の保護を受けることが難しく、遺族年金の給付を受けるにしても、基本的には難しいということになります。
元の婚姻関係(法律婚)が有効であるため、原則としては戸籍上の配偶者が遺族年金を受給することになります。
重婚的内縁関係であっても遺族年金受給が認められる場合
上記のとおり、重婚的内縁関係にある場合は、法律婚が優先されパートナーが亡くなっても事実婚の配偶者は遺族年金を受け取ることができません。
しかし、
- 元の法律婚関係が形だけのものとなっている
- 別居して随分長い。(例えば10年以上)
- 仕送りなどによる経済的援助が全くない
- 別居している時に、定期的な連絡や音信のやり取りが全くない
これらのように、元の法律婚関係が実態としてない場合には、例外として法律婚よりも事実婚の配偶者が優先される場合があります。
元の法律婚(戸籍上の妻)にも調査が入る
重婚的内縁関係で遺族年金の支給が行われるときには、元の法律婚関係が完全に形だけのもので、実態としては破綻している状態なのかどうかを確認するため、年金機構から戸籍上の妻に対して、審査が入る場合があります
戸籍上の妻に対する審査と、重婚的内縁関係にある者に対する審査の結果を考慮したうえで、どちらに遺族年金を支給するのか決定されることになります。
請求手続きを開始する前に、詳しい事情をお話し頂ければと思います。
籍に入っているからといって別居していても大丈夫とは限らない
先述しましたように、例え籍が入っていても、生計が維持されていたのかどうかを証明する必要があります。
- 生活費や医療費などの経済的援助が定期的にあったのかどうか
- 定期的に電話やSNS、はがきなどで定期的に音信を取っていたり、訪問していたかどうか
が重要になってきます。
反対に、
- 仕送りを定期的にもらっていたが、手渡しで、仕送りをもらっていたという証拠が示せない場合
- 気軽にすぐ会えるので、はがきやSNSなどで特にやり取りをしていた証拠を文字で残さなかった場合
こういう場合は客観的に、生計が維持されていたかどうかを証拠として残すのが困難なため、遺族年金受給が困難になる場合があります。
籍が入っているからと別居していても大丈夫と考えずに、ちゃんと仕送りなどがあった証拠や定期的に会っていたという証拠を残しておくことをおすすめ致します。